君の宝石は絶対に割れない

それでも私は生きていく

聴く者を限定しない名曲「好きかも思念体」の解釈で勝つ

ゆっきゅんが先行配信リリースした曲「好きかも思念体」を聞いて欲しい。とにかく聞いて欲しい。
https://linkco.re/ZSEntSGQ

https://twitter.com/guilty_kyun/status/1461715099475873793?t=_60LN-fGxsIxetNG_oIksA&s=19

良い曲すぎて感想が無限に湧いてくるので、既にツイートした内容のまとめも兼ねて書き記しておく。



まず、自ら作詞したゆっきゅんが「ヘテロに限定しない歌」とTwitterで明言してくれた(※1)ので、私の解釈では女と女のラブの歌です。

それ以外にもあらゆる受け取り方が出来る構造になってるのがこの曲のすごいところなんですけど、ヘテロに限定しないどころか恋愛にすら限定しないその他パターンの解釈は後述するとして、まずは私の中の「好きかも思念体」の物語を聞いてくれ。


君が私にラメを爪に塗り塗りしてくれてる手元が何故かまぶしいのか恥ずかしいのか直視できなくて、足元に視線落としたら君の履いているブーツかわいい……って気付いて、好きかもしれない!になる情景が見える歌詞。一瞬一瞬が部分的に切り取られがちな歌詞という表現領域において、時間や出来事の流れを鮮やかに表すセンスと手腕、端的に天才……

そして二番で帰宅して、好きかもしれない君に塗って貰ったネイルが来週だって剥がれたくないから、自分でトップコート重ねるのもまた良い。
『え?勘違いなわけないじゃん!』も、周りに「あの子のこと好きかもしれない……」ってポロッと話したら「友情を恋愛と勘違いしてるんじゃないの?」って言われたんだろうなって想像がつく。同性を好きになる時あるある。でもついつい人に話したくなっちゃうのもあるある。
『来年なんてありえないの? 君の自由さ 私も自由さ やれやれ寒暖差』は、卒論ラストスパートの秋から冬の寒暖差にメンタルが弱って、卒業したら来年もこうして君と会えるかも分からない、けど卒業後にどう生きるかは君の自由だし、私にも私の自由があるし、終わりのない思考は寒暖差のせいだよやれやれ……という情景が見える。一人暮らしの自宅で電気をつけずにぼんやりぐるぐる考えてそう。

一番サビがすごく好きなんですよ。『好きかもしれない! はじめて なんか楽になれそう』は『パフェにする?えーやっぱ恋にする?』『主体的ィ♡無理ィ♡』に繋がってて、今までの異性愛規範に乗せられて選ばれるまま頷いた恋愛ではなく、私が初めて自分の意思で「好きかもしれない」ってファミレスでパフェを選べるように主体的に選べた相手が君だからだと解釈してます。『無理ィ♡』は感嘆詞だと思ってる。感極まりすぎて無理って言いがちなの分かる。
セクシュアリティに初めて気付いて受容すると精神的に楽になるし、自分を責めなくてよくなるから恋するのが楽しいよね。

以上が、一部ではあるが私が「好きかも思念体」に見出だした物語である。この歌、私のこと歌ってる……って感じられる歌が生まれたのってすごく幸せだよね。



「好きかも思念体」には他にも色々なギミックが――というか限られた文字数から想像を膨らませられる余白――が仕掛けられていて、冒頭の『床片付けて出てきた三千円 君と使いたい』のあとに『決めた!ファミレスで相席勉強 そんなん進むわけないね』と続くのは、ファミレスでコーヒーとパフェ二人分頼んだらちょうど三千円ぐらいになるよね、とか。そもそもバイトが嫌になって金髪にしてみたり片付いてない床からお金が掘り出されたりと曲中の私はあんまりキッチリとした生き方が向いてなさそうだな、とか。君とファミレスで勉強会したって喋りまくって進むわけがないと分かっていても君と過ごしたいから卒論が切羽詰まってるのに勉強会という名目のお茶に行くのってマジで好きなんだな~~、とか。



ここからは別の視点で「好きかも思念体」の歌詞に切り込みを入れてみたい。

タイトルで「好きかも」と言ってるものの、前述したようにこの曲は恋愛ソングとしてではない読み方も全然出来るのだ。
ありがたいことに私の感想ツイートを見て「好きかも思念体」を聞いてくれたフォロワーが複数人いて、その一人が「思ってたより卒論の歌だった」と感想を教えてくれた。

そう、これはめちゃくちゃ卒論や締め切りに追われる人の歌でもあり、やるべきことがやれてない己のどうしようもなさや切迫感を散々嘆いて聴き手の気持ちに寄り添いつつも、最後は『結局絶対提出できる』と鼓舞する歌でもある。

そして歌詞に出てくる君への感情が恋愛であるとも限定されておらず、「卒論やばいのに友達とファミレスでパフェ食べながら勉強そっちのけで恋バナ聞いたりお喋りしまくるの楽しすぎる~♡てか君って締め切りチキンレースしてる私より全然頑張ってるからもっと楽にさせてあげたい、リフレッシュで突然熱海とか行きたくね??」という親密な友情関係を描いてるとも読み取れる。だって「好きかもしれない」だから。恋とは断言してない。ズバリ言わないわよ状態。


また、歌手であるゆっきゅんという人物を以前から好きで追いかけている聴き手がフフッと微笑んでしまうようなゆっきゅん節も所々に散りばめられていて、そこもまた嬉しい。『教えて「このドラマに出てきそう」あれ いい意味で言ってたの?』を聞いた時、私は「あえてゆっきゅん読みをするなら「このドラマ」は「アフリカの夜」しかないな……」とピンと来た(柚木麻子さんゲスト回のバラ色会議(毎月開催されているゆっきゅんソロの有料配信トークイベント)を見てる人しか分からない局地的なネタ)。
ふと思い立って突然熱海に行くのも実際のゆっきゅんのエピソードだし、そもそも去年修士論文の執筆でギリギリのギリギリまでかなりの切迫感を醸し出していて、結局提出できたゆっきゅんが歌うからこその説得力もある。



本当に無限に語れそうだけど最後に。
「好きかも思念体」では『心と頭 区別しなくていーじゃん』という、ものすごく大事なことを歌っていて、「好きかもしれない」って曖昧に揺れる心と卒論執筆に終われて慌ただしく思考を巡らせる頭、両方同時に起こることもあるんだよという人生あるあるが「好きかも思念体」という曲名に繋がっていると思ってる。


これが私の解釈だ!!

これからも聴き込んでいきたいので、ここまで読んでくれた読者の方はぜひゆっきゅんの歌う「好きかも思念体」を聞いてみたり買ってみたり拡散してみたりして欲しい。

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※1 ゆっきゅん本人の公式Twitterより
https://twitter.com/guilty_kyun/status/1461859261651120130?t=zn9l-hWq8pdYcMHJ-VoyBQ&s=19

https://twitter.com/guilty_kyun/status/1461862398000730116?t=N1EDpP3nmAyZWMCslwdIwQ&s=19