君の宝石は絶対に割れない

それでも私は生きていく

テストステロン注射直前の記録

これは誰のためでもない記録の文章だ。読みづらい悪文でしかないと思う。それでも書き記しておく。

 

端的に言うと、今日からテストステロン注射を受けることにした。数時間後には病院に行く。今まで騙し騙し生きてきたが、性別違和が限界まで来ていた。このままこの身体でこの性別で生きるのはもう無理で、死ぬしかないと思った。本気でそう思った。どうせ死ぬならせめて死ぬ前に好きにしようと決めた。今の私は、既に決まっている次の就職まで半年の猶予期間が与えられている。最後のチャンスだと思った。この半年を使って、ホルモン注射を始めた最初の一番つらくてしんどい時期を社会的に閉じこもってさっさと済ませようと思った。私は自分の身体がテストステロンの強さに耐えられる自信はない。ホルモンバランスが乱れたまま社会性を保つ自信はない。けれど、耐えられなかったとしても、いったん外の世界を遮断した状態でなら乗り切れると思った。お金はない。貯金を崩すことにした。ホルモン治療のために貯金を崩せば崩すほど胸オペが遠ざかるというジレンマに苛まれながらも、私はもうこのまま女性としての人生を送るのは無理だった。相変わらずバイナリーなジェンダーアイデンティティなどない。流動性が無くなってきたのはここ数年の大きな変化だけれど、ジェンダーアイデンティティはずっとノンバイナリーなまま固定されている。でも、生き延びるためには男性としての人生に舵を切らなければならないと突き付けられていた。男性としてなら何とか今よりも生きられるかもしれない。生き延びるための性別移行が始まる。細かいことは後から考えればいい。私は、男性として生きるために生きる。

 

「君の宝石は絶対に割れない」という名前でブログを始めた。今思えばそれは、あまりにも稚拙で無謀な祈りだった。

私の宝石は、いったん粉々に砕けた。完膚なきまでに破壊された。それでも、砕け散った宝石の欠片を拾い集めて生きていく。そうするしかないからそうする。そうするしかなかったんだよ。