君の宝石は絶対に割れない

それでも私は生きていく

服を拒む、服に拒まれる。

今回は箸休めに普通の日記を書きます。

 

 

仕事帰りにセカンドストリートに寄った。お金がないけどとにかく服が欲しかった。

現在の私は以前住んでいた家を緊急脱出して、とりあえず借り暮らしの身なので、買い足したもの以外は最低限の荷物しかない。特に服が足りていないと感じていた。大急ぎでキャリーバッグに詰め込めるだけ詰め込んだだけしか服がなくて、そのうち半分ぐらいはジェンダーアイデンティティの揺らぎにより着れない状態だ。着たくない服を毎日着ている。着たくない服の中から少しでもマシな服を選んで外に出る日々は、じわじわと私の精神力を蝕んでいた。

 

今の私は、いわゆる「レディース」と分類される服が着れなくなった。デザインは好きだ。見ていて楽しい。でも、それを自分の身に纏うことがどうしても耐えられなくなってきた。いわゆる「メンズ」と分類される服が着たくて仕方なかった。

 

セカンドストリートに駆け込んで、そこまでゆっくり探して回る時間はなかったけど、出来る限り物色した。メンズファッションの棚にあった黒無地のスウェットを見つけた時、すごく安心した。嬉しかったのでもときめいたのでもなく、安心した。私を拒まない服が見つかったという安堵だった。

数点試着したら、手に取った時はややオーバーサイズに見えたそれらの服はしっかりと私の身体のラインを拾ってしまい、諦めて脱いで棚に戻した。服に拒まれた気分だった。

隣のレディースファッションの棚に陳列された服たちは、もう今の私が着れる服ではなかった。デザインはとても可愛いのに着れない。しっくり来ない。居心地が悪い。私が私ではなくなってしまうから着れない。どんなに素敵でも私の身体の一部にはなってくれない服たちに追いやられてるようで悲しかった。

 

帰ろうとしたところで、偶然視界に入ったアコースティックギターを所持金使い果たして買おうかしばらく悩んだ。あまりにも悲しかったからギターでも弾きたかった。ギター弾いたことないけれども。疲れている時に大きな買い物をするものじゃないなと思い直して、そのまま何も買わずに店を出た。

 

 

帰り道の自動販売機でりんごジュースを買って、帰宅してから飲んだ。今の私に買えるのはりんごジュースぐらいだよ。