君の宝石は絶対に割れない

それでも私は生きていく

夢みたいな景色を浮かべて書き留めるセラピー

心を落ち着かせるために、夢みたいな景色を思い浮かべて書き留める。ただの空想的なセラピーの日記だ。


ふわふわのシフォンケーキとたっぷりのカフェオレ、世界一愛している友人と二人きりの空間。向かい合って座っておしゃべりするのもいいし、ソファに二人並んで座って肩を寄せ合ってスマホを見ながらぽつぽつとどうでもいい会話をするのもいい。今朝見た夢とか、最近の天気とか、買い物に行ったら美味しそうな新商品を買ったとか、ソシャゲのガチャを回したら来てくれたキャラクターとか、そういう話かな。LINEじゃなくて直接会いたいよ。


あるいは人のいない静かで穏やかな海辺。夜の海は怖いから朝か昼間か夕方がいい。テトラポットは怖いから砂浜がいい。流木とも言えない小枝や不格好に欠けた貝殻が落ちている砂浜を、スニーカーで踏みしめる感触。波の音は常に一定の感覚で、心臓の音みたいだ。もしも私の命が尽きる時は海に還りたいとずっと願っている。


灯りを落とした部屋に吊るされた薔薇のドライフラワーとレースのカーテンからこぼれる日光。青い砂時計。アンティークなデザインのアナログ時計。常に同じ動きをし続ける秒針に安心する。決まった秩序の元に動いているから。ぐるぐる回るものが好き。赤ちゃんのベッドの上に吊るす、メリーゴーランドみたいなおもちゃとか。


夜はふわふわの毛布に包まれる。ふわふわのパジャマ、ふわふわのルームソックス、かつて恋をしていた人と二人で行った水族館で買った、ペンギンのぬいぐるみと添い寝する。クナイプのネロリのハンドクリームは正直バズってたほどの良さは分からないけど、なんとなく落ち着くからたまに手や鼻の下に塗ってから寝てる。波の音は海からではなく、この文章を書いているスマホのヒーリングサウンドアプリから流れてくる。私は今、自分の部屋の布団の中だ。


夢みたいな景色を羅列していたら、いつの間にか現実の景色に戻ってきていた。セラピーは成功のようだ。不安に対処する頓服も効いてきた。次は夢の中だね、おやすみなさい。